内面の充実とは

 些細なことにこそ、その人の個性や品格そして人間性が表れると思うのです。言葉ひとつでも配慮や無関心を感じますし、センスや教養を感じることもあれば、その逆の場合もあります。また、些細な行動にも、その人の信念や情熱を見出すこともあれば、偽善的態度に落胆することもあります。言葉や行動は人間の内面を表す鏡のようなものなのです。


 些細なことであるほど誤魔化すことができないものです。一日中すべての言動に注意を払うことはできません。そのため疲れている時や忙しい時ほど本心が様々な形で外に出てしまうのです。気づいていないのは本人ばかりで、周囲が引いてしまうこともあります。やはり偽ろうとするのではなく、内面を磨き充実させていくしかありません。


 いきなり大きなことはできないものです。積小為大といいますが、日々の小さな積み重ねこそが大きな力となります。些細なことを疎かにすることなく、心を込めていくことです。内面の充実とは人や社会を想う気持ちを持つこと、知識ではなく智慧を求め学ぶことだと思うのです。相手へと向かう慈悲、自分へと向かう智慧のバランスによって、偽ることなき人間性が育まれるのではないでしょうか。