見えないものを見る

 今回のご開帳では入口がふたつあり、ひとつは拝観入口、もうひとつは朱印受付です。拝観入口には看板を設置し、「ご朱印ご希望の方は先に朱印受付にお越しください。」と案内しています。ところが、たまに目の前の看板を読むことなく入堂される方もいらっしゃいます。そのため脱いだ靴を履きなおして朱印所にお越しいただくことになります。手間をおかけして申し訳なく思いながら、どうすれば看板を読んでいただけるのか考えさせられます。


 今は確認作業が大事な世の中になっています。詐欺にあわないための確認、損をしないための確認、不安にならないための確認など様々な確認作業があります。説明書、看板、注意書きなど、私も面倒なことは省略したくなりますが、確認しないことのリスクは意外と大きいものです。何事も習慣ですから、人の話はちゃんと聞く、慣れないところでは周囲に気を配り見落としがないようにする、不安になったことは確認するといったことが大切です。


 分かったつもりにならないこと、無関心にならないことです。いつも新鮮な気持ちや謙虚な気持ちでいることで、見えなかったものが見えるようになってきます。それは視力の問題ではなく、気持ちの問題なのです。仕事の要点、相手の気持ち、場の空気、人生の転機など大切なものほど、見える人には見えているものです。ひとつひとつを確認して丁寧に対応していくことで、道を外れることがなくなります。