祖先からのメッセージ

 お盆になるとご先祖様とのつながりを考えさせられます。父と母は一人ずつですが、祖父母は二人ずつとなり、そこから無限に広がっていきます。この脈々と受け継がれてきた命のバトンは誰か一人でも欠けていれば存在しないものです。人類の歴史においてはつねに戦争があり飢饉や疫病があったなかで、よくつながれてきたものだと思います。近年は個人の意識が強くなっていますが、この命ははたして自分のためだけに使っていいものなのか考えさせられます。


 祖先に恥じないような生き方が求められますし、祖先が守ってきた家を大切にしなければなりませんし、感謝や報恩という徳も身につけなければなりません。自分さえよければということではなく、地域への貢献や周囲への思いやりということが恥じない生き方です。また、ライフスタイルも多様化の時代ですが、どのような形で家への務めを果たすのかも考えなければなりません。これらのことは祖先への感謝と報恩から芽生えてくるものだと思うのです。


 現在の日本は発展期が終わり、衰退期へと移行しています。少子高齢化が根底にあり、様々な問題が複合的に派生しています。古き良き時代を思い返せば、貧しくても笑顔と活力があり、今よりもっと幸せだったように思います。昔はあたりまえで、今は失われてしまったものを取り戻すことができれば、再び日本人は幸福になれると思うのです。そのためには物質的な豊かさを求めるのではなく、精神的な充足を優先することです。そして個の暴走を制御し、共生という生き方を思い出すことだと思うのです。