天道を歩む

 経営者には3つの要素が必要だと考えています。ひとつには自分の武器です。名物、技術、特許、知名度、信用など何でもかまいませんが、簡単には真似されないものを持たなければなりません。これを手にするだけでも長い道のりが必要であり、努力と忍耐によってこそ得られるものだと考えています。簡単に得たものは簡単に失うものです。着実に育てあげたものこそ、これからの道を切り開いていく大きな武器になります。


 ですが、いかに素晴らしい刀を持ったとしても、それだけでは人切りになってしまいます。次にその刀を使う者の人間性が問われます。人は誰しも天より徳性を与えられています。自分の持つ徳に気づき磨かなければなりません。ところが年齢と共に経験や自信を持つことで、傲慢になり徳を失うこともあります。実るほど頭が下がる稲穂かなといいますが、自らしっかりと律し暴走しないよう制御できなければ、徳を積むことはできないのです。


 最後の要素は感謝の心です。神仏、家族、お客様、社会すべてに対して感謝の想いを持ってこそ繁栄するのです。けして私利私欲ではなく報恩感謝の気持ちがあってこそ、自らが手にする武器も心に宿す徳性も光を放ち運気と人を引き寄せるのです。この社会は一進一退の世界ですが、発展を続ける人間は必ずこの3つの要素を備えているものです。経営者ばかりではなく、自分の武器と徳を磨き、感謝の心をもって歩む者は天も人も応援したくなるものです。