幸せへの言葉

 王様の耳はロバの耳という童話がありました。王様の秘密を知ってしまった床屋が言うに言えず苦しむ物語ですが、私達は誰しもこの床屋と同じように苦しんでいるのかもしれません。思ったことを思ったまま口に出せるのは小学校低学年くらいまでかもしれません。思春期にもなればお互いに遠慮して、いわゆる空気を読むようになります。本音と建前を使い分け生活するわけですが、本音と建前のギャップが大きくなるほど苦しくなるものです。


 自分の本音を伝えたい、自分の思い通りにしたいという欲求は誰にでもあります。ですが、時と場合により柔軟な言動が求められるものであり、日本社会では大人のたしなみともいえます。自分の感情を無理に抑えようとすれば苦しくなるものです。ですから良識や道理に照らすということが大切なのではないでしょうか。自分の言動が周囲に与える影響についてちゃんと考えることができれば、相応しい立ち振る舞いというものが分かるのではないでしょうか。


 この社会のどこにいても人間関係はついてきます。ストレスのない人間関係は難しいのですが、自然と相手の立場で物事を考えることができると、無用なトラブルを避けることができます。つい余計なことを言いたくなるのが人間の性なのですが、口は禍の元なのですから、気をつけなければなりません。言葉ひとつでお互いに幸せにも不幸にもなるものですから、幸せになれる言葉をつむいでいきたいものです。