失ったものより、これからを

 何かを得るということは、何かを失うことだとよく言われます。ですが、得たものは目の前にあり理解できるのですが、失われたものは存在しないものでもあり、その重要性に気づくことは難しいのかもしれません。たとえば浪費され失われた時間やお金は意識されにくいものです。また、今の人間関係や仕事によって失われた関係やチャンスも同じです。


 失われたものを考えはじめると、今の生活に自信を持てなくなってしまいます。「もしかしたら、もっと良い人生があったかもしれない」と考えてしまうことは危険です。人間は過去に戻ることも、違う人間になることもできません。結局は今の自分がすべてなのです。自分が選んできた人生に自覚と責任を持たなければなりません。


 可能性は過去に求めるものではなく、自分の未来に求めるべきものです。今の自分に不満があるならば、現状を否定することなく認めたうえで、不満を可能性に変えなければなりません。考えるべきは、失われたものではなく、これから先に自分がどうなりたいかなのです。未来の自分を決めるものは、今の自分であり、今の決意と行動が何より大切なのです。