心を重ねて

 小学校の記念誌を担当していますが表紙の色を決めるときに多数決を取りました。最後の2択になったときに、ある編集委員から「この色は小学校の象徴であるイチョウの黄色ですね」という発言がありました。それを聞いて、それまで青色が優勢だったのが、逆転して黄色に決まりました。物語や人の想いが加わることで違って見えるようになるものです。


 物には心がありませんが、それを作った人や使う人の心が宿ることがあります。大量消費の使い捨てではなく、長く大切に使われるものほど、たくさんの想いが宿るようになります。その想いを知るか知らないかで、見方が大きく違ってきます。昔は良い物を長く使う文化がありました。SDGsは最近の言葉ですが、もともとSDGsを実践してきたのが日本人です。祖先からの知恵を忘れてしまったから、環境が乱れてしまったのです。日本においてSDGsとは元の生活に戻ることなのです。


 物に限らず人の想いを知ろうとすることは大切だと思うのです。無関心に相手と接するのと、相手の想いを知ろうとして付き合うのとでは大きく違います。相手の想いを理解できれば、それだけ親しみや信頼も生まれます。人は心で生きています。相手の心と自分の心がつながることで、人生がより豊かになると思うのです。多くの人と心を重ねていきたいと思います。