グレーゾーン

 グレーゾーンという言葉を聞きます。様々な意味で使われているようですが、そもそも人間は善意と悪意、精進と怠慢、信頼と不信など相反する性質を抱える存在です。仏であり、悪魔であり、そのどちらにもなり切れない存在なのです。そのために、どれだけ悩み苦しむのかは誰もが経験することであります。どちらかで固定できれば楽なのに、そうではないところが人間の特徴であり魅力なのかもしれません。


 人間はいかようにもなれる存在なのです。地獄の鬼と恐れられた人間が、いつしか丸くなり仏のようになることもあります。劣等生とバカにされていたのに、いつしか社長として頑張っている人もいます。神童と呼ばれていた少年がやがて道を外れ罪を犯すこともあります。どうなるか分からないことに人生の楽しみがあるのかもしれません。決められた人生や路線があるわけではなく、自分の努力や怠慢しだいでいかようにもなるものです。どのような人にも可能性があり、また油断すれば末路もあるものです。


 自分のなかにある様々な感情や思考から何を選び取るのか。外界の情報や影響よりも、大切なものは自分のなかにあります。相反する選択肢のどちらを取るのか。答えは分かっているのですが、その正しい答えを選べるかどうかなのです。意地を張ってわざと間違いと分かっている選択をする人もいます。欲に翻弄され正しい答えを見失ってしまう人もいます。正しいことを正しく行うという、このあたりまえのことができるために心を鍛えていかなければなりません。