お人好しなのか、偽善者なのか

 私は人の目が気になるほうだと思います。自分がどのように思うかよりも、周囲の人間からどのように思われるかを考えてしまいます。そのため面倒なことでも引き受けてしまいますし、本意ではないことにも誘われれば参加してしまいます。断ることへの抵抗感ともいうべきものがあり、それは周囲からどのように思われるかが気になるからです。


 そのために後悔することも多々ありますが、後から考えればその時には後悔しても、最終的には良かったと思うことのほうが多いように感じます。人間関係を閉ざして自分の思うように生きるよりも、関係のなかで自分の役割や居場所を見出すことのほうが、私には合っているようです。頼まれごとは面倒でもありますが、相手からの信頼を得るチャンスでもあります。信頼が人間関係の基本だと思うのです。


 相手に媚びるのは嫌だと思う人もいると思います。同じ行為が人によってまったく違う意味合いを持つところに、人間の多様性があります。人生や人間関係に答えはありませんから、無理するのではなく、自分にとって違和感のないことをしていくしかありません。自分よりも家族、自分よりも友人、自分よりも仕事と、相手を慈しみ優先することが日本人の美徳だと考えています。お人好しなのか、偽善者なのか、そんなことを考えるよりも気持ちよく「いいよ」と言いたいものです。