ご朱印は仏道修行

 ご朱印ブームは一過性で終わることなく続いているようです。ただブームに便乗した各界のスタンプが登場したり、華美なだけの印刷やゴム印をたくさん押しただけの特別朱印もあり、便乗や方向性を間違えると失望される心配もあります。ご朱印本来の意義を明確に意識して参拝者に対応しなければならないと自戒しています。集客や集金のためにご朱印があるわけではありません。


 ご朱印によって新たなる神仏との御縁があること、ご朱印によって過去の参拝を忘れないこと、そして何より参拝することで心が清められることが第一義だと思うのです。日常を離れ神聖な世界において自らを浄化し、ご朱印によってその安らかな気持ちが少しでも長く続けばと願うのです。


 当山では受付で朱印帳を預かってから本堂内で参拝いただきます。「時間がかかるので、ゆっくりご参拝ください」と伝えています。少なくても3分間はお参りいただきたと思います。何も考えず堂内の清浄な空気に身をゆだねるだけでも心が清められます。七仏通戒偈にある仏教の極意のひとつに自浄其意(じじょうごい)という自らの心を清めることがあげられています。ご朱印をいただくことも仏道修行に通じるものなのです。