新しい物語をはじめよう

 たまたま甲子園の開会式を見ていたら、流れてきた音楽はNHK連続テレビ小説エールに登場した「栄冠は君に輝く」でした。以前はただの甲子園の歌だったのが、「エール」を見たことよって、歌に込められた想いを知ることによって、より親しみを持つようになりました。同じく連ドラに登場したカップヌードルもそうですが、込められた想いを知ることで、ただのものではなくなります。


 目には見えない物語を知ることよって、特別なものになります。これはうんちくなどの知識ではなく、感情なのだと思うのです。感動や感謝というものがあって、はじめて特別なものになるのだと思うのです。ドラマを見て感動したから、親切に感謝したから、いつまでも心に残るのです。知識のなかで生活するよりも、物語のなかで生活したほうが豊かな生活になります。


 どのような人にも人生の物語があり、出会いによって新しい物語が始まります。様々な出会いによって得られた物語こそが人生の宝だと思うのです。その物語は波乱万丈の大冒険というものではなく、ささやかでおだやかな物語かもしれませんが、世界中のどこにもない特別なものだと思うのです。人と人との交わりは中島みゆきさんの「糸」にあるように縦と横の糸で新しい物語をつむいでいくのです。