不動心

 緊急事態宣言下での路上飲み会などを見ていると若気の至りともいえますが、根底には「みんなしているから」という言い訳があるように思います。良くも悪くも先頭をきって実行できる人は限られています。多くの人は誰かが動くのを待って、待ってましたと同調するものです。「みんなで渡れば怖くない」ともいいますが、集団には人の理性を麻痺させる魔力があるように思われます。


 誰しも楽をしたいと思いながらも我慢していることがあると思います。自分が我慢しているそのことを周囲の人間が平然としていれば、怒りと同時に自分もやりたいという衝動が強くなります。ダイエットや禁酒をしていれば、周囲を言い訳に解禁してしまいます。コロナ禍によるストレスにより、よくよく考えれば感染拡大につながる迷惑行為のはずなのに、集団心理のなかで路上での宴会がおこなわれるのでしょう。


 1人であれば自制することができても、周囲からの誘惑に負けないのは難しいことです。人間は理性よりも感情が先行するものです。理性のブレーキよりも感情のアクセルのほうが強いものです。葛藤という言葉がありますが、多くの場合には楽なほうに向かうのですが、それが後悔につながっていきます。私達は道理に照らしながら、何物にも負けない不動なる心を養っていきたいものです。