教室の外へ

 20数年前に好きだった海外ドラマでプールを金網で囲い泳げないようにするのではなく、泳ぎ方を教えることが大切だというセリフをいまだに憶えています。人生にはリスクがつきものです。いかに社会が進歩して安全安心を求めても、危険のない社会は想像できません。ですから、私達は困難やストレスを回避することばかりではなく、それらを乗り越えていく力を養わなければなりません。


 温室で育ってしまうと暑さ寒さへの耐性が育まれません。教育界において競争であったり集団生活におけるストレスをなくそうとすることは、社会生活で必要な耐性を奪うことになります。ストレスや失敗を経験させないのではなく、ストレスや失敗の乗り越えかたを教えなければなりません。教育とは知性よりも生きていくための強さを学ぶべきだと思うのです。


 探求という名のもと、問題が起こったときに、問題を把握して解決策を考えること、必要な人材を集めること、必要な段取りをすることを授業のなかで学ぼうとしていますが、昭和の時代は教室ではなく遊びのなかで学んでいました。管理されない子供たちの世界が必要であり、そこでの失敗やトラブルが子供達を大きく成長させてくれるのではないかと考えます。