涙もろくなって

 朝の連ドラ「スカーレット」を見ています。物語もいよいよ佳境に入り主人公の息子が白血病であることが分かりました。息子を見守る母親の姿は涙を誘います。もし独身の頃に見ていればあまり感動することはなかったのかもしれません。ですが、同じように息子を持つ立場になったからこそ、より共感できるのだと思うのです。


 年を取ると涙もろくなるといいますが、様々な経験から共感できるようになり、相手の立場や境遇に立てるようになり、その分だけ感動するのでしょう。それは人として豊かな心を耕しているということでもあります。人生には様々な苦労や試練もあり、生きるほど様々なものを背負うようになっていきます。背負っているものは自分だけのものですが、多くの人に共通するものでもあり、そのためお互いに共感することができるのです。


 山では登るほど疲労も溜まっていきますが、同じように登っている人と出会うと元気になれるものです。同じような時間を過ごしている人がいる、同じような苦労をしている人がいる、こういった同じ道を歩む者との出会いは喜ばしいものです。お互いに励まし支え合うことで困難な道も進んでいくことができるのです。誰もが唯一無二の人生を歩んでいますが、孤立無援の道ではなく、たくさんの人生と交わる道です。様々な出会いが生きる活力となり人生を豊かなものにしてくれます。春は出会いの季節です。素晴らしい出会いを期待したいものです。