打てば響く人間

 西郷隆盛を表した言葉に「小さく打てば小さく響き、大きく打てば大きく響く」があります。現代は何を考えているの分からない人が増えているように思います。話をしていても手応えを感じない、親近感を覚えない人が多いものです。冒頭の言葉でいえば、こちらがもっと相手の心を揺さぶらなければならないのかもしれませんが、真剣勝負の会話とまではいかなくとも、熱くなれるような会話がしたいものです。


 ただ相手の想いが強すぎると警戒感や危機感を感じることがあります。意気投合ではなく、多くを期待され求められている、誰かを陥れる密談である、損得や打算の塊である、優越感や劣等感がにじみ出ている、こういった人とはあまり関わりたくないものです。また、あまりにも次元の異なる聖人君子であってもかえって疲れてしまいます。心を許せる程好い関係であり、その関係が自分を育ててくれるというのが望ましいところです。無理せず自分のペースで上っていける関係です。


 西郷隆盛は相手に応じて態度を変えることはなかったと思いますが、相手に応じた関係づくりができたのだと思います。朱に交われば赤くなるという言葉がありますが、普通の人は周囲から様々な影響を受けるものです。ですが、西郷隆盛は相手の機根に応じて、どこまでも深く広い心で相手を感化していったのでしょう。どうせなら良い影響と良い関係を求めたいものです。自然に集まってくる人間というものは、自分と同じような人だといわれます。周囲の人々は自分を映す鏡なのかもしれませんが、意識して人を求めたいものです。