真の教育とは

 今の日本に足りないものは何でしょうという質問があり、私は忍耐だと答えました。若い世代を中心に忍耐力が大きく低下しているように感じられます。どうして忍耐が必要かといえば、私達が生きているこの社会は厳しいものであり、忍耐なくして人生を歩んでいくことはできないのです。ですから子供の頃から厳しさのなかで忍耐力を養わなければなりません。ところが、家庭は甘やかし、学校はことなかれ、地域は無関心ということでは子供の健全な成長はありえません。


 忍耐を養うには忍耐が求められます。子供の自由にさせるのが最も楽な方法なのですが、それでは忍耐を習得することはできません。親が面倒だとは思わずに子供のワガママと対峙しなければなりません。忍耐がなければ子供に忍耐を教えることはできません。親に常識や教養がなければ子供に教えられないのと同じなのです。徳目ほど習得には時間がかかりますから、早くから取り組まなければなりません。英語や水泳も大切なのでしょうが、子供のためにもっと大切なことがあるはずなのです。


 人生の最終目標は幸福の実現だと思うのですが、そのために必要なものは何かと考えなければなりません。私は金銭や権力ではなく人徳だと考えています。周囲から損得なしに尊敬されること、自分に対して謙虚に自信を持てること、困難にもよく耐え進めることなど、人間力を磨くことが大切だと思うのです。親というものは我が子の幸福を願うものですが、そもそも幸福とは何か、幸福実現のために必要なものは何かと考える、その先に真の教育があると思うのです。