矛盾する労働改革

 国からは働き方改革であまり働くなといわれ、定年延長で健康寿命ギリギリまで働けといわれ、会社からは兼業しろといわれ、どのように働いたらいいのか分からなくなります。日本人の労働観というものが崩壊しているように危惧されます。この崩壊の原因は国や会社の都合を押しつけようとするところにあります。そもそも各人が働きたいように働けばよいのに、それを画一化したり規制しようとするからおかしくなるのです。


 現在の日本人には労働観というものがなくなっています。まず教育の現場で働くことの意義について学び議論させることが大切です。今のようなエスカレーター式に授業を消化したら社会に放り出す教育では良い仕事は生まれません。日本が貧しかった時代は仕事の意義など考えなくても、食べるために誰もが一生懸命に働きました。ところが、今は働くためのモチベーションを維持するのも難しい時代なのかもしれません。そもそも働かなくても両親と同居していれば暮らしていくことができます。


 豊かな時代になったからこその働くことへの苦悩や働かない苦悩があるように思います。自分の生活のためだけではなく社会のために人に喜ばれるために仕事をするという理想はありますが、そういった充実感を得るためには、それに相応しい労働観を持たなければなりません。そもそも何のために働くのかということを、自分なりに考え納得できないと、これからの時代は苦悩を抱えて働かなければならなくなります。この矛盾に満ちた日本社会で自分なりの筋を通して働きたいものです。