人間関係の妙技

 最近は人間関係の「ずれ」を感じることが多くなりました。暗黙の了解とか阿吽の呼吸という言葉もありますが、何も言わなくても分かる伝わるということがあったのに、それが分からない伝わらない人が多くなったように感じます。しかも、分からない人に理解してもらうのは大変なことです。分かる人は説明しなくても分かりますが、分からない人にはいくら説明しても分からないものです。


 本でいえば行間を読むという、人間関係における間合いは習得するものです。この能力が低下しているのは、人間関係の経験値が低いということが原因だと思います。まず相手のことを考えることが少なくなりましたし、表面的な付き合いばかりだと、深い所でつながる間合いが分からないままになります。目に見えるところ耳に聞こえるところは表面的なことであり、大切な部分は見えるものでも聞こえるものでもなく感じるものなのです。


 見えない聞こえない所に踏み込む勇気が必要になります。相手のことを想像しようとすると、どうしても否定的・悲観的な想像になりやすいものです。表面では笑っているけれども本心では軽蔑しているかもしれないと考えれば、人間関係が恐ろしくなります。しかし、相手の心を勝手に想像したり解釈するのではなく、相手からの様々なシグナルを読み解いて相手が求めていることを理解することが大切なのです。そのためには様々な経験や失敗を通して人間関係を学び精度をあげていくしかありません。面倒な作業ですが、この作業を通して自分も含めて人間というものを学び、誰とでも上手に付き合えるようになりたいものです。