欲をエネルギーに

 人生を楽しむということにかけては団塊の世代は最も優れていると思います。美食・旅行・趣味などまさに人生を満喫しているように見えます。それは敗戦間もないころに生まれ貧しさを知っており、敵国だったアメリカの豊かさを知っており、さらにはその後の経済発展の中心となった世代だからこそ、時間・体力・金銭がそろっている退職後の今を満喫しているのだと思います。


 逆に若い世代は貧しさを知らず豊かさを知らず可もなく不可もない生活をしています。それは貧しさを知らないからこそ豊かさを求めないということでもあります。不幸を知らなければ幸福を実感できず、恩を知らなければ感謝できないのと同じようなものです。仏教では中道といって極端に偏ることを戒めますが、人の生活というものは不足を埋めようとしてバランスが保たれるのかもしれません。


 求めすぎると苦しみを生み出しますが、求めなくても苦しくなるものです。仏教的な生活によって求めないならば満たされますが、普段の生活において無気力でいることは苦しみです。不足を埋めようとするのが人の生活というものであり、不足を誤魔化そうとするのも苦しみなのです。上手に欲と付き合うことも必要であり、欲をエネルギーとして人生を豊かにしているのが団塊の世代のように思います。その賛否よりも人生を楽しもうとする姿勢を見習いたいものです。