大人と子供の道徳

 小学校でも道徳の授業が見直されますが、子供が学ぶ道徳とはまず善悪の区別が大切であり、さらには人としての理想像を学ぶことだと考えています。法律的にではなく人として許されることと許されないことが区別できなければ、社会で生活していくことはできません。この生活とは衣食住ということではなく、社会のなかで人と関わり生きていくという意味です。人に迷惑をかけない不愉快にさせないということが基本です。さらには充実した人生を過ごすためには理想的な生き方を知らなければなりません。人と豊かに関わりながら自分なりの理想を求めることが子供の道徳ではないかと思うのです。


 大人の道徳とは理想よりも現実をいかに受け入れるかを学ぶことだと考えています。どうして犯罪や迷惑行為がなくならないのか。どのような人であれ環境や条件によって悪しきに流される可能性があり、その原因となる人間の弱さや愚かさを知ることが大人の道徳だと思うのです。また、理想を求めながらも思うようにならない現実をどのように捉えるかも大人の道徳です。完璧ではない自分や相手をどのように認めるかが求められます。


 子供は大きな希望を抱くことが大切であり、大人は理想と現実のバランスをとることが大切です。大人の道徳とは日々の生活における不満や不安を解決する智恵を学び、理想と現実の狭間に自分なりの安住の場所を確保することです。そのためには「私なりの70点生活」がお勧めです。100点を求める生き方は苦しくなりますし、50点では妥協の生き方になります。周囲の評価ではなく点数をつけるのは自分であり、週平均で70点の程々満足な生活を求めることです。金曜日が最悪ならば土日は少し贅沢をして点数を回復します。木曜日に良いことがあれば土日は質素に点数を抑えます。70点というバランスを意識することで生活が安定します。年代に応じた道徳や課題があり、それらを上手にクリアすることで人生を豊かにしていくことができるのではないでしょうか。