叱られない不幸な子供達

 子供を叱ることのできない家庭が増えているようです。叱れば泣かれたり、いじけられたり大変なのですが、面倒だからと叱らないというのは無責任なことです。また、そういう家庭においては自分の子供が他所の人に叱られることも拒否してしまいます。叱ることをしない、周囲にも叱らせない親というものは叱ることの意義を理解できていないのです。


 子供は叱られることで物事の善悪を判断できるようになります。これは説明されるだけでは身につかないことです。叱られるという体験によって学ぶことができるのです。自分の言葉や行動がどこまでなら許されるのか、どこからは許されないのか、相手により状況によって違ってくる一線を体得するためには失敗して叱れるという無意識の思考錯誤が必要なのです。


 若い人は人間関係に臆病な人が多いようです。そういう人は子供の頃に人間関係の一線を学んでいなかったのかもしれません。そのため相手との距離感が分からず不安になるのです。暴力を認めるわけではありませんが、子供は叱られることで成長していきます。もし教師や上司に叱られて「親にも叱られたことがないのに」と嘆く人がいたとしたら不幸というものです。子供にとって本当に必要なことは何かと考え、面倒なことに負けず本気で子供と向き合うことが現代の親には求められています。