売り言葉に買い言葉の関係

 いかに優秀な設計士が設計図を作ったとしても、それだけで家が建つわけではありません。土地があり、資金があり、大工さんがいて、他にも様々な条件が整ってはじめて家が完成します。何かひとつでも劣ってしまえば良い家は建ちません。私達も設計図だけでは人生を歩んでいくことはできません。想いだけでも志だけでもいけないのです。想いだけの人は、自分の強すぎる想いに翻弄され自らを正当化し周囲との和を欠き、現実が分からないままつぶされてしまいます。何事も実現のためには必要な過程や条件を整えなくてはなりません。


 たとえば家庭において新聞を取ってくるという単純なことでも信頼関係がないと成立しません。新聞を取ってきてと頼んだ時に、無視されるのか、うるさいからと取ってくるのか、喜んでとってきてくれるのか、日頃の関係によって違うと思うのです。まったく言うことを聞かない状態だとしたら、怒って文句を言うのか、失望してあきらめるのか、普段からの関係を見直すのか。日々の生活の大部分は見直されることない硬直した関係が多いのではないかと思います。硬直した関係を見直して、新しい関係を作らなければ、売り言葉に買い言葉の関係が改善されることはありません。


 日々の些細な関係から人生の根幹にいたるまで、自分の想いを実現するための環境整備が必要です。思い通りに生きている人は、そうなるように努力している人です。たまたま幸運に恵まれている人の順風は儚いものです。必然の努力というものが大切です。もちろん努力したからすべて思い通りになるわけではありませんが、現状を見直して最善を尽くそうとする姿勢が大切なのだと思うのです。
 



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