日本的な経営者とは

 大手自動車メーカー元会長が逮捕されました。普通の人間であれば宝くじで1億円でも当たれば、もう十分だと思うのでしょうが、その数千倍もの資産を持ちながらも、不正を犯してまでさらに求めては逮捕されました。この事件で人間の欲というものの恐ろしさをあらため実感させられました。人間は持てば持つほど欲しくなるものであり、その衝動は世界的に有名な経営者であっても逃れることができなかったのです。


 今回の逮捕は自らの欲を野放しにしていた報いではないかと思うのです。力を持っている人間ほど節度を保たなければなりません。一般人であれば妄想してもできないことでも、権力者はしようと思えばできてしまうのです。だからこそ「あえてしない」という姿勢が必要であり、自らの欲を制御できない人間は権力を持つべきではありません。しかし、権力者ほど欲に翻弄され破滅してきた事実を歴史は証明しています。


 模範的な日本の経営者は、いかに会社が順調に利益をあげていても、それを自分の手柄とは考えません。そのように考えると欲を抑えられなくなるからです。会社も利益も社会のためにあるものであり、私利私欲に走ることなく社会に還元しようとします。世のため人のためという志があるからこそ、欲に負けることのないリーダーになることができるのです。経営者ばかりではなく、私達も欲に翻弄されて生きるのか、周囲の人々のために生きるのか、何のためにどのように生きるのかを考えたいものです。