一歩の勇気

 地域活性化の会議に参加していますが、どうにも話がまとまりません。ある補助金を使った事業を検討する会議なのですが、事務局側は腹案があるにも関わらず、参加者全員で話し合いましょうと腹案を出さずに議論を求めます。ところが、たたき台のない議論ほど具体性のないものはありません。何回と会議が開催されても、各人が個人的な意見を表明するばかりで、具体的な進展はまったくありません。会議を重ねる毎に参加者が少なくなり、終いにはこの人数で議論をしても地域の総意とはならないとなってしまいました。
 
 地域の会議などでは、「みんなの意見」を重視しようとします。ところが、100人いれば100通りの意見があり、それをまとめるのは大変なことです。そこで大切になるのがリーダーシップです。すべての意見を盛り込むことなどできないのですから、最初からテーマや事業を絞り、可能であれば具体的な事業を提案しなければなりません。具体的な事業案が提案されれば、それに沿った議論が可能となります。道筋がはっきりしているからこそ、前向きな議論が可能となります。何をするにも反対する人はおり、反対を恐れていては、何もできないのです。
 
 自分の思いと相手の思いを天秤にかけた時、お互いに遠慮してどちらにもつかなければ、宙づりのままになってしまいます。一歩踏み込むことが大切なのです。自分の思いを優先させるのか、それとも相手の思いにゆだねるのか、どちらかにしなければなりません。そのためには、腹を割った話し合いをしなければなりません。人間関係が希薄になっているといわれますが、宙づりになったままの思いが日本中にあふれているのかもしれませんね。
 
 大皿料理の場合、最後の一切れを誰が食べるのか躊躇することがあります。ですが、誰かが勧めなければ、誰かが食べなければ、いつまでたってもきれいにはなりません。人間関係も同じようなもので、遠慮するばかりでは現状を打破できないこともあります。やはり一歩踏み込むことが大切なのです。微妙な雰囲気や関係のなかで、一歩踏み込むことには勇気が必要です。ですが、それをしてこそお互いに納得できるのです。お互いに不信感を募らせるくらいなら、ざっくりと話したほうがお互いに楽なのです。誰かが話しかけなければならず、誰かが譲らなければなりません。そういう人になれればと思います。


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