人生観の形成

 人が人として生きていくためには、自分なりの人生哲学を必要とします。なぜなら生きていくことには、様々な迷いや苦難が伴うため、自分の道を歩んでいくための羅針盤が必要なのです。世の中にはたくさんの哲学や倫理などの羅針盤がありますが、借りてきたものでは大切な時ほど役に立たないものなのです。古来より受け継がれてきた羅針盤を学ぶと共に、そこに自分の経験や人生観を融合し、オリジナルの羅針盤を作ることによって、迷うことなく進んでいくことができるのです。
 
 生きるということに、興味を抱くようになるのは、個人差はあれど30代前後ではないかと思います。高校を卒業する頃までは、親や社会によって与えられる受身的な人生です。決められたスケジュールで日々過ごし、様々な制限を受ける生活です。社会人や大学になれば、そういった制限が緩和され、はじめて自由を謳歌できるようになります。しばらくは享楽的な生活が続き、やがて落ち着いてくるのが20代後半ではないかと思います。ちょうどその頃には結婚や育児・職場での転勤や昇進などがあり、人生というものを考える転機ともなります。
 
 今までの自由気ままな生活から離れ、様々な責任を背負うことによって、人間というものは変わっていくものなのです。そこから人生の模索にもつながっていくのです。30代になってくると、会話の内容から興味を惹かれる本や番組まで少しずつ変わってきます。たとえ意識はしていなくとも、人生について考えるようになってくるのです。30代は学ぶことや経験することが中心となりますが、40代・50代と年齢を重ねていくなかで、様々な経験から自分なりの人生観を構築するようになっていきます。
 
 この過程のなかで大切なことは、自分の価値観が絶対的に正しいとは思わないことです。つねに他の価値観も認められる柔軟性を持つことによって、円滑な人間関係を得ることができますし、自らの人生観をさらに素晴らしいものにしていくこともできます。人生観とは相手に押しつけるただのワガママではありません。相手を納得させるためのものではなく、自分が納得してい生きていくための指針なのです。他の人生観を認められる人だけが、自分なりの人生観をもって生きることができるのです。謙虚な学び、積極的な経験、深い反省などによって、少しずつ自分なりの人生観を作っていきたいものです。


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