理想と現実の狭間で

 現代の生活を考えてみると、理想と現実が遠くかけ離れているように感じてしまいます。そして、そのために理想と現実の狭間で苦しんでいる人も多いように見受けられます。私達はつねにまわりから理想を求められますし、自分のなかにも自分なりの理想像や規範意識があり、そういったものを思うように体現できないと、苦しむことにもなるのです。理想と現実が離れるほどに、私達はその狭間で迷い悩むのかもしれません。
 
 昔は質素な生活があたりまえであり、経済的にも道徳的にも様々な制限があり、それによって理想と現実が適度な距離で結ばれていたのです。ところが、現代社会は様々な制限が取り払われたことによって、落ち始めればどこまでも落ちていく社会となりました。また、報われない時代でもあり、志や努力がなかなか報われず理想達成が困難となり、理想と現実の距離が広がってもいるのです。さらには、慌ただしく忙しい生活のなかで、自らの理想と向き合う時間を奪われていることも大きな要因となっています。
 
 このままだと理想と現実の距離は広がるばかりであり、いつしか「人のあるべき姿」という理想が消失してしまうかもしれません。どうして人間には理想が必要なのかといえば、理想を持つことが希望を持つことにつながるからなのです。目指すべき目標があるからこそ、前に進むことができるのです。また、理想とは規範でもあり、理想を持つことによって、自らを律し生活することができるのです。自分を律するものを失えば、流されるだけになってしまいます。
 
 誰しも、心の片隅には自分なりの理想があるはずなのです。ところが、あるはずの理想を放置したままにしておくと、心は元気を失ってしまいます。人は理想を求めていくところに、充実感や達成感を感じるものなのです。目標を持つからこそ、心身共に元気に頑張れるのです。理想と現実の距離が広がり、理想を求めなくなってしまうと、心は枯れてしまい虚ろな日々となってしまいます。生きていくためには、様々なものが必要ですが精神的なものこそ、大切にしなければなりません。すべては心からはじまるのですから。 


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