敵をつくらず

 ケーブルテレビで大河ドラマ西郷どん」の再放送を見ています。明治維新後の舞台になったのですが、西郷隆盛は情を大切にするあまり反乱の首謀者へと担がれてしまいます。対する大久保利通は情が分からないため暗殺されてしまいます。どちらも新しい国づくりに命をかけたのですが、その想いが正しく理解されなかったのかもしれません。この二人がいなければ明治維新はなかっただけに惜しいと思うのです。


 夏目漱石草枕の冒頭に「智に働けば角が立つ情に棹させば流される」とあります。理智で割り切っていると周囲と衝突しますし、他人の情に囚われると自分の足元をすくわれるといった意味でしょうか。さらに漱石はだから人の世は住みにくいといっています。人は感情の生き物であり、人間関係とは感情と感情の交流といえます。理性や道理も人にとっては大事なものですが、優先されるのは感情なのではないかと思うのです。


 相田みつをさんの作品に「あの人がゆくんじゃ わたしはゆかない あの人がゆくなら わたしもゆく・・・」とあります。これが人の本性なのでしょう。ですから、敵を作らないということが求められます。苦手な人や嫌いな人は誰にでもいますが、あえて敵にする必要はないのです。これだけで日々のストレスは半減します。そして親しき人々との良好な関係を維持することができれば幸福が約束されるようなものです。もちろん良好な関係維持も簡単ではありませんが、甘えることなく謙虚な気持ちでいるならば、良縁を磨いていくことができるのではないでしょうか。