必然につながるもの

 NHK大河ドラマ「どうする家康」で武田信玄に大敗してしまいました。ドラマのなかで信玄が戦を仕掛けるときは勝つことが決まっている時だといわれていました。信玄の長年にわたる経験と戦略は若き家康の敵うものではなかったのでしょう。しかし、皮肉なことにその後すぐに信玄は病死し、その数年後には武田家は滅亡しています。信玄に負けた家康が、信玄が夢見た天下統一を果たしたのですから、世の中は最後までどうなるか分からないものです。


 何事も戦う前から勝敗は決まっているのかもしれません。勝つべき人が勝ち、負けるべき人が負けるのであり、勝つも負けるのも必然なのかもしれません。勝つ人は勝つだけの準備や努力をしています。それを怠る人が負ける人なのです。勝敗は時の運という人もいますが、勝者は偶然に身を任せることなく、必勝を期すべきなのです。僅差であっても勝敗を分けるものがあるはずです。その「ほんの少し」にこだわったのか、妥協したのか、そこが大きく違うのかもしれません。


 ドラマのような様々な試練を乗り越えてきたという人もいます。逆に取り立てて逆境を経験していないという人もいます。順境な道を外れることなく歩んできたことも素晴らしいことだと思うのです。微に入り細を穿つ(びにいりさいをうがつ)という言葉がありますが、細かなところまで疎かにしないことで、間違いがないのです。豪胆な人間は失敗も多いものです。何事においても見落とさない配慮が大切であり、それが必然につながっていくのです。