風雪に耐えてこそ

 人間の評価とは難しいものです。必要以上に評価したり、必要以上に批評したり、感情もからむため、相手を的確に理解することは簡単ではありません。そのため信じていたのに裏切られたとか、ケンカ別れしたのちに冷静に考えて悪い人ではなかったと後悔することもあります。物に光を当てれば必ず影が生まれます。人の心にも自分の側からは見えない部分があるものです。相手のすべてを理解することはできないのです。


 また、人の心は年々変わっていくものです。自分が思っている人間からいつの間にか変質していることもあります。人間は変わるものであり、お互いにそのことを理解しつつ、良き関係を維持していかなければなりません。また、相手ばかりではなく自分の心も変わっていくものです。けして変わることは悪いことではなく、良い方向へと変わっていかなければならないのです。今の自分よりも、これからの自分を見つめることで、新しい自分へと成長していくことができます。


 木と同じように人の心も本来はまっすぐ伸びていくものです。ところが自然界においては風雪によって木が曲がり、人間界においてはいわれのない非難や劣等感が人の心を折り曲げようとします。木々は風雪耐えてこそ、人間は苦難に耐えてこそ大きく成長していくことができます。苦労を知るからこそ人の苦労が理解でき、自分の立場に苦しむからこそ相手の立場に配慮でき、苦悩するからこそ相手の苦しみにも共感できるようになります。様々な経験を通してたくましく成長していきたいものです。