良縁の根底にあるもの

 寺院経営は商売ではありませんが、一道は万道につながると考えています。寺院もコロナ禍にあり大変だと耳にすることが多くあります。行政の支援はありませんし、社会的な同情も期待できません。普段から税制的にも優遇されていますし、社会的にも寺院に対する批判や不満は少なからずあるものです。ですから、危機的な状況も自分で乗り越えていくしかありません。コロナ禍が一段落しても、地域のお祭りや葬儀の形式などは元に戻ることはないのかもしれません。


 大きな時代の転換期にあり、新たなる魅力や役割を作り出していかなければなりません。寺院にあっても参拝者を増やそうとか売上をあげようと考えるのは危険です。その発想は相手のことを考えず、自分のことばかりを考えており、良いアイディアが生まれることはありません。参拝者にいかにご縁を結んでもらうのか、喜んでもらうのか、安心してもらえるのか、こういったことを突き詰めていく先に妙案が生まれるのではないでしょうか。


 何事も相手があって成り立ちます。人間関係も商売も今風に表現すればWin-Winの関係がベストなのです。そして順番ではまず相手そして自分です。お互いが譲り合えるようでなければ長く良い関係は築けません。猿蟹合戦に登場する猿のような人間ではいけません。不思議と良き縁に恵まれる人は、それを引き寄せる魅力があるものです。様々な魅力があると思いますが、その根底にはつねに相手に対する善き想いがあるのではないでしょうか。