雪国の運転は

 昨年に続き大雪となりました。一日の多くを除雪や雪下ろしに費やす日々が続いています。道路も圧雪となっており、いつもの倍の時間がかかります。ところが雪道になると、思いやり運転になるのです。店舗から道路に出たい車にはすぐに譲ってもらえますし、除雪によって狭くなった道路ではお互いに譲り合いながら運転します。道路状況はひどいのですが、人のやさしさを感じられる季節でもあります。


 どうして思いやり運転になるかといえば、急いでもしょうがないと思うからなのかもしれません。雪道ではつねにノロノロ運転の渋滞で、多くの人は時間に余裕をもって生活しています。譲っても時間的にたいして変わらないと思うからなのです。また都会のように無理に割り込んでくる車もありません。雪道で無理をすれば事故になることを理解しているからです。


 何事においても「急がず、無理をせず、余裕を持つこと」が大切だと思うのです。生涯設計と称して死ぬまでの計画を立てることも大切なのかもしれませんが、考えるほど余裕がなくなってしまっては、かえって悪影響となります。先々のことまで心配して、今を楽しめないのなら、周囲の人にやさしくできないのなら、考えないほうがましなのです。江戸っ子は「宵越しの銭を持たぬ」といいましたが、明日は明日で何とかなるものです。それを50年も先のことまで考えれば余裕など持てません。鉛筆の芯を削り続けるような気持ではなく、なるようになるという気持ちで余裕とやさしさをもって暮らしたいものです。