「ぜひもなし」という言葉を漢字にすると「是非もなし」となります。いつかの大河ドラマで織田信長がよく使っていました。意味としては良くも悪くもない、いたしかたないということでしょうか。私達は善悪の判断をおこないますが、現実は善悪など関係なく無常にもやってくるものです。我々の事情や選り好みなど意にも介さないものです。
「どうして私ばかりが」と実は多くの人が思っているものです。世界中で最も悲劇な人間が世界中にたくさんいるようなものです。我々にとっては自分が関わるものが最も喜劇であり悲劇であり特別なものなのです。自分の知らない人間のことなど気にもなりません。些細なことであっても自分事は大事件なのです。ですが「是非もなし」なのです。
喜劇も悲劇も程々に「是非もなし」と少し突き放して考えてみると翻弄されることがなくなります。誰しも特別な自分だけの人生を生きているわけですが、思い入れが強くなりすぎると執着となり苦悩となるのです。思い通りにはならない世界で生活しているのですから、是非もないことがたくさんあります。そのことを心得ておきたいものです。
次回19日金曜日は当山の祭礼があるため更新は22日とさせていただきます。よろしくご愛読ください。