商売の極意

 コンサルタント的な小さな努力で大きな成果を得ようとする風潮があります。ですが、仕事とは儲けようと思ってするものではありません。いかに社会に貢献するか、お客様に喜んでもらうかが、本来の目的だと思うのです。そのためには最善を尽くして日々の小さな成果を積んでいくことが肝要です。楽をしようとするのは本末転倒ですし、頭のなかで完結させようとする発想や企画では相手には響かないものです。


 司馬遷の『史記』に「桃李不言 下自成蹊」とあります。桃や李は何も言わないが、果実を求めて人が集まり、自然と道ができるという意味です。仕事においても感動の果実を提供できれば、宣伝しなくても自然と人が集まるようになります。大切なことは、宣伝や効率よりも、いかに満足してもらうかです。


 人は安くて良いものを求めます。付加価値ということが連呼されますが、その価値とは相手のためのものなのか、自分のためのものなのか。その方向性によって商品やサービスに品格が備わり、信頼されるようになります。人は心で生きていますから、見るべきは相手の財布ではなく心であり、仕事の極意とは理屈で考えることではなく、感動によって人の心をつかむことにあります。