無一物中無尽蔵

 ラジオで1%の人間が世界の99%の富を独占していると問題視していました。富とは資産でありお金のことですが、こういったものにはトラブルがあり、周囲からの憎悪や嫉妬、自らの傲慢や浪費など、様々なものがつきまとうものです。よほどの人でなければ資産よりも、資産に伴う負債によって破滅してしまいます。資産があっても不幸な人が多いのはそのためなのです。


 仏教が執着を戒めるのは、物や欲にはマイナスの感情やトラブルが伴うからです。何もなければ、嫉妬されることも憎まれることもなく、失って悲嘆することもありません。無一物中無尽蔵という言葉があります。個人的には何も持たないことで、すべてが満たされると解釈しています。荷物と一緒で人生においては持てば持つほど苦しくなります。荷物が少ないほど身軽に人生を楽しむことができるのです。


 人生はなるようにしかなりません。ところが政府やマスコミが将来の不安を煽るため、必要以上に先々を心配して今を楽しむことができないのです。将来のために今を犠牲にして、その犠牲で成り立つ未来が幸福だとは思えないのです。必要以上に求めることなく、必要以上に心配することなく、必要以上に比べることなく、今を大切にありのままに生きることが大切なのではないでしょうか。