自分のルール

 自分なりのルールを持つこと、そのルールを妥協することなく遵守することも大切だと考えています。大人になれば法律を犯さない限り、強制的に罰せられることはありません。周囲からいかにプレッシャーや非難を受けても気にしない人もいます。そういう人は決まって「あなた達にとやかく言われる筋合いはない」といいますが、だからこそ自分でしっかりしなければならないのです。


 仏教には戒律というものがあります。人によっては「あれもダメ、これもダメ」と面倒だと思われるかもしれませんが、そのルールを守ることで正しく生活することができ、結果的に苦しむことがなくなるのです。面倒なルールではなく、幸せになるためのルールなのです。現代日本においては僧であっても戒律遵守の意識がなく、そのため日本仏教は低迷しているともいえます。


 戒律だけではなく、倫理道徳というものが人々の生活の根底にあった時代には、お互いにルールを守り安らかに暮らすことができました。ところが、現在は多様化の時代であり同じルールを全員が守ることには無理があります。強制力がなく、遵守意識に乏しいルールに効果はありません。だからこそ自分で守らなければならないと思えるルールを作らなければなりません。それは信念や美学と表現することもできます。ルールで自分を縛ることで堕落することなく、凛々しく生きていくことができるのです。