自分のことが嫌いだと

 不思議なもので、仕事が嫌だと思うと、そこで働く自分のことも嫌いになります。家族が嫌いだと思うと、その一員である自分のことも嫌いになります。社会に不信感があると、そこに属する自分のことも信じられなくなります。すべてがつながっており、自分の態度や価値観が相手を通して自分に返ってくるのです。自分がマイナスを発すれば、そのマイナスが増幅され返ってきます。


 私達は自分のことを被害者のように考えることがありますが、子供のケンカと同じで相手が100%悪いということはありません。「蒔かぬ種は生えぬ」といいますが、自分の態度や価値観が周囲に影響を与えて、現状が作り出されているということがあります。しかし、そのことを知らなければ現状を変えることはできず、いつまでも被害者であるという錯覚のままということもあります。


 社会も人間関係も複雑怪奇に見えますが、ほつれた糸をたどっていけば単純明快なものです。しっかりと整理をして、シンプルに実践するだけなのです。難しいことを無理してするのではなく、単純なことを続けていくだけで物事は好転するのです。社会や相手を自分の思うように変えることはできないからこそ、自分が相手に合わせて変わっていく、しかも良い方向へと変わっていくことが大切です。そのためには自分にも相手にも慈しみの心をもって向き合っていきたいものです。