四国巡礼の今

 ある本で四国巡礼の今を学ぶ機会がありました。いつかは四国へと思いながらも年々忙しくなり、かえって四国巡礼は遠のくばかりです。仏教界においては異例ともいえる平成になってから巡礼者が増加しブームとなっているのがお遍路さんです。観世音菩薩なら33霊場不動明王なら36霊場、これに対して四国は88霊場と数が多く難易度も高いのですが、日本の巡礼においては最も人気でした。ところが近年は巡礼者が大きく落ち込んでいるそうです。


 その原因については様々に記述されていましたが、その根底には四国霊場の驕りがあるのだと思います。対応できるギリギリの巡礼者が毎日のように訪れれば、疲れて嫌になります。声をかけるのも面倒になり不愛想に思われ、ご朱印の対応も機械的となり人情味が感じられなくなります。途切れることのない巡礼者に配慮などできなくなり粗雑になります。各人が様々な想いのもとに巡礼するわけですが、時間とお金をかけて巡礼しても行く先々で不愉快な思いをするのであれば、人気がなくなるのは必然です。


 人が来ないうちは来てほしいと思い、人が来るようになれば面倒になる。程々が良いのですが、なかなか難しいものです。人が来なくなれば態度を改め精進することで、また魅力が生まれ人が来るようになる。ところがブームとなり人が集中すればまた傲慢になる。修行しているはずの寺院においてもそうなのですから、人の心というものは本当に難しいものです。社会に翻弄されることなく程々に暮らしていきたいものです。