不安に負けないために

 先々のことを考えると不安になります。寺院経営、健康、家族、地域等々、諸行は無常であるというのは仏教の教えの根底ですが、その無常なる世界に安定と安寧を求めることが無理なことなのかもしれませんが、それでも求めてしまうのが人間という存在です。求めるものが多すぎて、そのために苦しむという図式は2500年前から変わらず、社会の発展に伴いさらに多くのものを求めては苦しんでるようです。


 不安や危機感というものは毒にも薬にもなるものです。不安や危機感を克服しようと自分を高めていける人にとっては薬となります。反対に不安や危機感に翻弄されるばかりで何もできない人にとっては毒でしかありません。有効活用するためには行動が求められます。将来に対する不安には、将来に対して備えを怠らず、どのようになろうとも乗り越えられる力をつけることです。そのためには先を見るよりも足下である今日に最善を尽くさなければなりません。


 対人関係に対する不安には、相手としっかりコミュニケーションをとることです。一人で悲観的妄想をせず話し合えば、ほとんどは杞憂や誤解で終わります。日頃から信頼関係を築くため、信頼される人間性を磨かなければなりません。鏡は磨かなければ汚れて曇っていきます。私達の心も日々芽生えてくる小さな不安を払拭していかなければなりません。不安に負けない自分の獲得は簡単ではありませんが、小さな不安に打ち勝ちながら経験と自信を養っていきたいものです。