不都合な気づき

 一人で生きている訳ではない我々にとって自分のことばかりではなく、相手に対する配慮も大切です。たとえば自分の努力だけではなく、相手の努力にも敬意が必要です。「こんなに頑張ってきたのに」と思うのは自然な感情ですが、さらに「相手も自分以上に頑張ってきたんだ」と思えることで、事実を素直に認めることができるようになります。また、自分の悲しみばかりではなく、相手の悲しみにも敬意が必要です。「どうして私ばかりが」と思うのではなく、「自分ばかりではなく」と周囲の心や経験にも目を向けられると自分の悲しみも素直に認められるようになります。


 何事も自分中心で考えてしまうと傲慢になったり卑屈になってしまいます。人は自らを律していかなければなりませんが、自分への執着から離れることで、正しく物事を判断し受け入れていくことができます。広く世の中を見て判断していくということは、自分にとって不都合なことも見なくてはならないということです。自分の未熟さや失敗もちゃんと認めなければならないということです。自分の世界に逃避していれば、不都合なことは誤魔化せます。しかし、公正に自分を見ようとすればするほど、不都合な気づきがあるものです。しかし、その気づきがあることで成長することができるということを肝に銘じたいものです。