知識よりも経験を

 人間は単純なことに気づくために長い年月を要することもあります。分かれば単純明快なことなのですが、そこにたどり着くまでに紆余曲折があるものです。効率を求める時代にあっては、そういう時間を無駄だと思うかもしれませんが、そういった時間や過程が大切なのではないかと考えています。人生に無駄なことはないといいますが、一見無駄に思えることほど後々重要になることも多々あります。大切なことは知識ではなく経験だと思うのです。


 簡単にネットで調べられる時代ですが、簡単に得たものは簡単に忘れてしまいます。たとえばいくらネットで富士山のことを調べても、自分の足で富士山に登った経験に勝るものはありません。なにより感動は知識ではなく経験から生まれるものなのです。ネットの知識は他人の答えであり自分の答えではありません。自分の答えとは経験した感動や苦悩から生まれてくるものだと思うのです。自分なりの答えをつかもうとする意識と行動が今の時代に求められています。


 楽して得られるものはありません。大切なものほど苦労しなければなりません。また苦労したからこそ大切なものになるのです。効率的に楽をしようとする現在の風潮には違和感を感じます。千利休は「稽古とは一より習い十を知り、十より返るもとのその一」という言葉を残していますが、何事も時間をかけ求めていってこそ本物になります。途中で満足したり挫折すれば、そこで終わってしまいます。道というものは、どこまでも続いており歩み続けることが大切なのです。



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