適度な距離

 誰しもコンプレックスを持っているものです。この悩みの種であるコンプレックスを克服して自分を成長させていくことも必要ですが、そんな自分の欠点や弱さというものを上手に理解してもらうことも大切だと思っています。これは開き直るということではなく、個性として承認してもらうということです。自分のコンプレックスを克服するというよりは囚われないようにすること。そして相手に迷惑や不快感を与えることなく認めてもらうことで、必要以上に気にすることなく生活することができるようになります。


 周囲に自分という人間を理解してもらったり承認してもらうためには、相手との距離感を縮めなければなりません。お互いの距離を測るのが難しい現代社会ですが、距離が離れると誤解されることが多くなります。経験のなかで「意外と、この人は・・・」と相手を見直した経験があると思いますが、それは相手との距離が縮まり今まで知らなかった一面に触れたからこその評価ではないかと思います。「意外と」とは自分が勝手に抱いていたイメージと現実の相手が違っていたということであり、距離が縮まったことでちゃんと相手を理解できたということです。


 人間は親しくなることで、今までよりも相手を許せるようになります。いわば楽な関係を築くことができるようになります。ただ、近づきすぎると相手のマイナス面が目につくようになりますから、気をつけなければなりません。ビジネスの関係だと気を使い距離が遠いため疲れますし、家族関係だと甘えて距離が近すぎて疲れます。友人関係のような気を使わない適度な距離で誰とでも付き合えるようになると、自分の欠点や弱さも気にならなくなるのかもしれません。自分を平気でさらけ出せる関係です。


 誰にでも自分を語れる人がいますし、誰にでも何でも聞ける人もいます。これは生まれ持った性格によるところが大きいかもしれませんが、時間をかければ誰でも親しい関係を築くことはできると思います。誰とでもとはいきませんが、自分が持つ欠点や弱さを気にしないで付き合ってくれる人間が一人でもいてくれれば、ずいぶん救われるのではないでしょうか。相手との適度な距離感を心がけたいものです。




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