成長とは

 私は人間の成長とは、知識を得ることではなく、今までできなかったことが、できるようになることだと思っています。また、面倒だと思っていたことが、自然にできるようになることだと思います。たとえば、挨拶ができるようになる、やさしい態度で接することができるようになる、日々の何気ないことを無理せず自然にできるようになることが、人間の成長ではないでしょうか。 


 大人になると「あの人は頭が良い」という表現はあまり使わなくなります。それに代わり「あの人は賢い」という表現は使います。頭が良いといった場合には知識を指しますが、賢いといった場合には人間性を指します。社会で求められるのは知識ではなく人間性ではないかと思っています。人間性とは学ぶものではなく、身につけるものです。今まで以上のことが「身につき、できるようになる」ことが成長なのです。


 まわりを見ていても知識のある人は持論に固執し論戦を好み、相手を立てることを知りません。そのため敵を作っては、物事を進めることができません。賢い人は上手に相手を立てながら、周囲の理解と協力のもと物事を進めていきます。人間は感情の生き物ですから、正論ではなく相手への感情で考えるのです。自分を下に見ている人間を助けようとは思いません。往々にして知識のある人は自分を上にして、賢い人は自分を対等か下にして接するものです。自分の立ち位置が大切なのです。 


 大人になれば知識よりも相手に対しては態度、言葉遣い、礼儀、配慮などが求められます。自分に対しては常識、自戒、志、謙虚、努力などが求められます。こういった人間の基礎にあたる部分を身につけておかないと、思うようには生きられません。様々な徳を身につけ賢人になることが大切だと思います。私達は関係性のなかで暮らしています。良き関係を築いていくために本当に大切なことは何かと考えてみたいものです。


応援クイックお願いします
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 仏教へ
にほんブログ村