お参りのマナーについて

 本日はお参りのマナーについて書いてみたいと思います。お寺は公益法人に属しています。いわば公共の場所と同じです。参拝者が自分だけならまだしも、他の参拝者がいるときにはマナーを守り、みんなで気持ち良くお参りしたいものです。


まず、お参りから
 本堂に入ったら、まず本尊様にお参りしましょう。堂内の見学は参拝が終わってからです。あくまでも本堂はお参りする場所ですから、優先すべきはお参りです。小さな子供さんなどは広い本堂で走りたくなりますから、気をつけなければなりません。また、大声で話さないこと・帽子を取ること・携帯の音を消すことなどにも気をつけましょう。本堂の荘厳な雰囲気を壊さないように心配りが必要です。また、大きなお寺さんなどでは順路に従って拝観しましょう。順路に逆らうと通行の妨げになりますし、順路以外の部屋などには立ち入らないようにしましょう。
 

カメラは御法度
 ほとんどのお寺さんでは建物に入ってからのカメラ撮影は御法度です。カメラのフラッシュや三脚が仏像や建物を傷めるからです。また、暗いところでフラッシュをたくとまわりの人の迷惑にもなります。本堂はお参りする場所であり、写真を撮る場所ではありません。お参りした感動は写真ではなく、心に刻みましょう。また、お寺のなかから見える庭園もすばらしいところがたくさんあり、外なら写真を撮ってもいいと思いがちですが、禁止または三脚撮影禁止のところもあります。写真を撮りたい場合は受付で確認しましょう。なお本堂は写真撮影可でも、控えることをおすすめします。


質問はいいのですが
 お寺の受付にいると様々な質問を受けます。お寺の歴史や普段なかなか聞けない仏教のことなど質問は多岐にわたります。素朴な質問ならいいのですが、たまにいかにも本を読んで勉強してきましたという人もいます。質問というよりは知識の披露です。また、お寺さんがどけだけ勉強しているか試すような質問もあります。個人的にはそういう質問が好きなのですが、他の参拝者の方もおられる時などは困ってしまうこともあります。純粋な質問か、知識の披露や試されているのかは、聞いているとたいがい分かるものです。本職の僧が仏教について語られるのも、知識を試されるのも、あまりいいものではありません。お寺側は時間が許せば参拝者の方といろいろな話しをしたいと思っています。どうせならお互い楽しく仏教交流をしたいものです。


お参りできないお寺もある
 知らない方も多いのですが、どこのお寺さんでもお参りできるわけではありません。お寺は信者寺と檀家寺に分けることができます。信者寺とは参拝者を受け入れるためのお寺です。ですから、誰でも拝観時間内であれば自由に参拝することができます。ところが檀家寺は檀家さんのお葬式を中心にしている、いわば檀家さんのためのお寺です。ですから、知らない人が突然きて「本堂で参拝させてください」と言われても、迷惑になることもあります。なお、信者寺と檀家寺の両方というお寺さんもあります。日本にあるお寺の多くがが檀家寺です。参拝できるお寺さんには、拝観案内の看板や受付がありますから確認してみましょう。


御守りについて
 お寺さんには御守りの授与所があります。たくさんの御守りが並んでいることもありますが、あまり触れないのがマナーです。買うことを決めてから手に取りお寺さんに渡すのが丁寧です。小さな子供さんを連れてお参りに来られる方で、子供さんが御守りに触れるのをたしなめる親御さんには感心させられます。ちなみにお札や御守りは一体・二体と数えます。
 よく「御守りは一年間しかきかないんですか」と聞かれることがあります。御守りが古くなることはありません。ただ持つ人の気持ちがだんだんとあせていくので一年で交換してくださいと言うのです。新車は大切にしても、数年たつと粗雑にあつかうようになるのと同じです。ですから、大切にしてさえいれば何年持っていてもかまいません。また、古くなった御守りは受けたところに返すか、近くでお焚き上げをしているところにお願いしてください。
 あと、困るのは「この御守りはご利益がありますか」という質問です。御守りはすべて祈祷してあるものですから、「あなたの祈祷はご利益がありますか」と聞かれるようなものです。お寺側からすれば御守りの功徳は、ご自分で判断していただくしかありません。「この御守りには、すごいご利益がありますよ」と言えば商売くさくなりますし、「ご利益は期待できません」とも言えません。また「あなたの信心次第です」といえば、誤魔化したように思われます。なんともせつない質問なのです。

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