仏教の教え(その13)

 十善戒の九つ目が不瞋恚(ふしんに)です。これは怒りの心に支配されないようにという戒律です。欲望以上に気をつけなければならないのが怒りではないかと思います。怒りも欲と同じようにきりがありません。人間は完璧ではありませんから、必ず短所があり到らないところがあるものです。
 


 人を責めだしたら、怨みだしたら、きりがなくなり、イライラして過ごしては大切な一日を台無しにしてしまいます。また、イライラしてまわりの人に八つ当たりしたり、いかにも機嫌が悪いという態度でいれば、まわりの人のにも迷惑をかけてしまいます。
 


 お釈迦様は怒りを滅ぼせば、悩むこともなくなると言っておられます。それだけ、私達はイライラすることによって、多くの悩みや苦しみを抱えているのです。何事も習慣ですが、思い通りにならないとすぐにイライラしてしまうのも習慣です。
 


 相手が悪いというよりも、勝手にイライラしては苦しくなっているのではないかとも思えるのです。相手の弱さを責めてイライラしても、苦しくなるだけなのです。自分で自分を苦しめているようなものです。また、いつもイライラしていれば、まわりの人から避けられるようにもなります。「イライラしても、何一ついいことはありませんよ」というのが不瞋恚の教えなのです。