いくつもの顔

 人はいくつもの顔を持っていると思います。仕事の顔、父親の顔、友人としての顔など様々です。それぞれの顔に求められるものがあり、仕事では上司としての厳しい顔、父親としては娘に甘いやさしい顔、友人とは乾杯する楽しい顔など、キャラの使い分けを無意識にしているものです。そのどれもが本人であり必要なものであり、上下優劣があるわけでもありません。ただキャラに応じて緊張感が伴うこともあれば、リラックスできるものあります。


 健全な人生にはバランスが大切です。どうしても仕事や人間関係には緊張感が伴いますから、その緊張を癒すリラックスの時間も必要です。家族との楽しい時間と友人との楽しい時間では違いますし、孤独を楽しむ時間も必要です。様々な顔で様々な時間を過ごすことで人生が豊かになっていきます。ひとつのものに没頭することが必要なこともありますが、長い目で見るならば多くの居場所と役割を持ったほうが良いと思うのです。それぞれの場所で求められる役割を担うことで人間の幅を広げることができます。


 ひとつの場所で負担が大きくなると、ストレス発散を求めるようになり、どこか違う場所の自分がゆがんでおかしくなってしまいます。自分にとっては楽しい時間でも、それが周囲の人々のストレスになってはいけません。ストレスを伝染させるのではなく、お互いが楽しめる時間としたいものです。