話し合いの道

 今回の選挙の焦点のひとつにTPPがあります。TPPへの参加にメリットを感じている業界は参加を要望し、デメリットを感じている業界は猛烈に反対しています。何事も反対するほうが必死であり、反対側が押しているような情勢でしょうか。国を二分するような議論は久しくなかったように思います。選挙の勝者がこの問題をどのように扱うのか、注目したいところです。
 
 TPPの問題を見ていると、この社会は利害の対立によって成り立っているように思えてしまいます。自分の利益を守るために、お互いが正しいと主張し、その優劣によって方向性が決まっていきます。全体の利益よりも、利権に与する人数の多少によって物事が決まっていくようにも見えるのです。大多数の人間にとっては、関わりのない対立から社会が動いているように感じられます。こと政治についてはそれが顕著であり、そのために無関心になってしまうのかもしれません。
 
 社会問題は別として、私個人としては、お互いの利害の対立を越えたいと思っています。お互いに妥協するのではなく、お互いにとってメリットのある方策があるはずなのです。そのためには、話し合いが大切だと思うのです。お互いの主張を押しつけあっているうちは、解決することはありません。しかも、多くの場合、自分の主張が受け入れられなかった時点で禍根を残し、物別れに終わってしまいます。お互いに相手の話にも耳を傾け、ほどほどの着地点を見つけられれば、お互いのためになり新しい展開も見えてくるものです。
 
 私は感情的になっている時には、相手のことを自分だと思うようにしています。相手の話を聞こうともせずに、一方的に自分の主張を押しつけてくる相手を見て、私も同じような剣幕で一方的に押しつけているんだと考えます。「あなたの話はよく理解できる」と繰り返しながらも、けして自分の主張を曲げない相手に自分の姿を重ねてみると、少し冷静になれるような気がするのです。そして、こちらが冷静になれば、相手も冷静になるから不思議です。一息ついたところから、本当の話し合いがはじまります。もしかしたら、お互いに言いたいことを言い合って心を軽くしてからでないと、腹を割った話はできないのかもしれません。お互い忍耐をもって心を軽くし、最良の道を探りたいものです。



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