嘘の結末

 袴田事件が58年を経て無罪判決となりました。この年月を賠償することも責任を取ることもできないできないように思います。どうしてこのようなことが起こってしまったのか。おそらく自分達の都合で無実の人間を死刑囚にしてしまった当時の関係者も後悔に苦しんでいたのだと思います。もちろん、それで許されることではありませんが、国家権力ゆえに過ちを認めることができなかった恐ろしさがあります。


 嘘を嘘で塗り固めるという表現がありますが、嘘は時間が経つほど、関わった人間が多いほど、許されない嘘であるほど、なんとかして嘘を真実にしようとするものです。そのため相手も自分も苦しむことになります。3年5年と嘘をつき続けること、その嘘を守るためにさらに嘘を重ねること、後悔や自己嫌悪の日々など嘘をついて良いことなど何もありません。


 最初から嘘をつかないことが賢明なのです。そのためには素直に謝る習慣を持つことです。謝ってしまえば、その場で終わることも、嘘をついてしまえばどんどん悪化していきます。人間には自分を守りたいという本能があります。失敗や悪事など親しい人にほど知られたくないと思いますし、何としても、たとえ嘘をついても手にしたいものがあったりします。すべては欲なのですが、その欲に翻弄され嘘は不幸の始まりであることを忘れないようにしたいものです。