地獄に落ちるのは・・・

 テレビ番組で地獄を特集していました。開祖のお釈迦様は死後のことについては考えるな、今に集中して生きなさいと教えていました。ところが人間というものは死んだらどうなるのかということが気になって仕方なかったようです。そのため仏教においても、いつの間にか死後の世界が説かれるようになりました。それが浄土と地獄です。人間は生前の行いによって死後の世界が異なると説かれます。善き行いによって功徳を積んだものは極楽に生まれ、悪しき行いによって悪行を積んだものは地獄に落ちるとされ、地獄の世界も様々な説かれ、その苦しみもリアルに描写されるようになりました。


 今回の番組では死後の裁判官である十王のひとり閻魔大王が祀られる都内のお寺が紹介されていました。閻魔大王の恐ろしい姿を見ながら地獄の恐ろしさを説かれれば悪いことはできなくなるものです。これらは悪行を慎ませるための仏教の教えなのだと思うのです。同じように極楽の素晴らしさも説かれていますが、対極の世界を具体的に描写することで善き人生を歩ませようとしたのでしょう。


 ところが、いつの間にか地獄というものが説かれなくなりました。誰もが死んだら極楽に往生できると思われるようになりました。因果応報を説く仏教ではありえないことなのですが、おそらく因果応報よりも葬儀や法要の功徳がより強調されてしまった結果なのでしょう。地獄という悪行への抑止力がなくなったことで、人間はより自由に生活するようになったのかもしれません。ですが、それによって悪行三昧となり、気づいたら地獄に落とされていたとしたら悔やみくれません。日頃から功徳は積んでおきたいものです。