賢者の生活

 賢者は外に幸福を求めることがありません。外に求めることは自分の幸福に条件をつけることになります。資産が1億円なければ幸せではない、部長に昇進できなければ幸せではない、子供が早く結婚し孫の顔を見せてくれなければ幸せではない、様々あると思いますが、達成できるかどうか分からない目標を幸福の条件としてしまうと、達成できない現状は幸せではないことになってしまいます。また、多くの場合においてこのような幸福の条件を求める人はいても、努力と忍耐によって何としても達成しようとする人は少ないものです。多くの人にとっては願望であって、いつまでも遠いところにあるものです。


 考えてみれば、こうして生きているだけでも奇跡のようなものであり、充分に幸せなことだと思うのです。ところが、日々のありがたいを忘れてしまうと、外に幸福を求めるようになり、現状に不平や不満を持つようになります。幸福とは日々の満足から生まれてくるものだと思うのです。賢者はこのことを知っており、日々の生活を大切にし自らの幸福に条件を求めることがありません。それゆえありのままで幸せなのです。幸福とはどこか遠いところから偶然やってくるものではなく、今までも、これからもすでに日々の生活のなかに備わっているものであり、そのことに気づかなければならないのです。