シンプルな言葉のなかに

 七仏通戒偈の一節に自浄其意という言葉があります。自分の心(意)を浄めなさいという教えです。私達の心は野原のようなもので何もしなければ次々に雑草が生えるかのように雑念が生まれてくるものです。その雑念が心のなかで繁殖してしまうと何も見えなくなってしまいます。そのため正しい思考や判断ができなくなってしまうのです。


 参拝は心を浄めるという意義もあります。非日常の世界に身を置くことで、日常生活のなかで繁殖した雑念を払うことができます。心を整理整頓することで、今まで雑念で見えなくなっていたものに気づくことができるのです。雑念の根っこは簡単に取り除くことはできないので、つねに生えてきた雑念を刈り取りながら根を弱らせなければなりません。


 自分の価値観や行動が雑念から生まれているものなのか、それとも清らかな心から生まれているものか、考えなければなりません。それに気づくためには心を浄めなければならないのです。正しい食生活をしていれば病気のリスクは低下します。同じように正しい生活をしていればトラブルや苦悩のリスクは低下します。シンプルな言葉のなかに大切な真理が込められているのが仏教です。その真理を実践していきたいものです。